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世界中の人から愛されている『星の王子さま』。
子どもの頃に読んだけれど、大人になって改めて読んでみたいという方も多いですよね。
しかし、『星の王子さま』はたくさんの文庫本が出ているので、「どう違うの?」「一体どれがおすすめ?」と思う人も多いはず…!
そこで、児童文学マニアの私が4つの出版社から出ている文庫本『星の王子さま』を読んだので、「一番読みやすい」と思った1冊を紹介します!
それぞれの翻訳の違いも詳しく紹介するので、ぜひ迷っている方は参考にしてみてください。
『星の王子さま』文庫本にちがいはある?
名作『星の王子さま』はたくさんの文庫本が出版されていますが、さまざまな出版社から出ているため、次のような違いがあります。
- 翻訳者
- 表紙(装丁)
- 本のサイズ
- 挿絵(有無やカラー・白黒)
- 価格
『星の王子さま』はフランスのサン=テグジュペリが書いた本です。
それを日本語に翻訳しているため、内容自体は同じでも、翻訳者のちがいで「言葉」や「表現」が異なります。
『星の王子さま』の世界観自体は変わりませんが、読み手の印象が変わることはあり得るでしょう。
『星の王子さま』おすすめは新潮文庫の文庫本
4冊の文庫本『星の王子さま』を読み比べてみた結果、私が個人的なおすすめは、新潮文庫(新潮社)の『星の王子さま』です。
詳しくは後述しますが、読みやすさやカラーの挿絵、サイズ感を総合的にみた判断です。
迷ったらぜひこちらを選んでみてください。
相性で選ぼう!『星の王子さま』翻訳を比較
ここからは、実際の翻訳を紹介して比べていきます。
読みやすさは人によって違うため、自分が読みやすいと思った本を選んでください。
主人公である「ぼく」と王子さまが出会うシーンから引用します。
新潮文庫バージョン / 河野万里子 訳
ようやく口がきけるようになると、僕はその子にたずねた。
新潮文庫 平成18年発行 サン=テグジュペリ 著 河野万里子 訳『星の王子さま』P12
「いったい……きみはここでなにをしてるの?」
でもその子は、なにか重要なことのように、静かな声でそっとくり返すだけだった。
「おねがい……ヒツジの絵を描いて……」
とてもわかりやすく読みやすい翻訳が特徴です。
大人が読んでスムーズに物語が頭に入ってくる感じですが、子どもでも読めるようにところどころにルビが振られています。
通常の文庫本サイズなので持ち運びにもいいし、挿絵がカラーなので楽しく読めます。
講談社 青い鳥文庫バージョン / 三田誠広 訳
ようやく少し気分がおちついてきたので、ぼくはたずねた。
講談社 青い鳥文庫 2006年発行 サン=テグジュペリ 作 三田誠広 訳『星の王子さま』P17
「だけど、ねえ……。きみはここで、なにをしているんだい?」
王子さまは、とてもたいせつなことを言いわたすみたいに、さっきと同じことを静かにくりかえした。
「お願い……。ヒツジの絵を描いて。」
子ども向けの『星の王子さま』。
小学校中級以上が対象年齢になっているので、とても読みやすく翻訳されています。
子どもや児童書(児童文学)に慣れ親しんでいる大人の方には、新潮文庫よりもこちらのほうが読みやすく感じると思います。
すべての漢字にルビが振られているので、大人が読むと煩わしく感じる可能性があるのと、挿絵がモノクロな点が残念ですが…。
また、通常の文庫本よりも縦長に少し大きいサイズになっています。
集英文庫バージョン / 池澤夏樹 新訳
ようやく口がきけるようになったとき、ぼくは言った―
集英社文庫 2005年出版 サンテグジュペリ 著 池澤夏樹 訳『星の王子さま』P12
「でも、きみ、ここで何をしているの?」
それに対して彼は、とても重要なことを告げるように静かな声で繰り返した―
「すみません、ヒツジの絵を描いて」
大人のための『星の王子さま』です。
上記引用ではありませんが、別ページでは「尊大」「豪奢」といった言葉が使われていて、大人向けを意識して翻訳されているのがわかります。
読みにくいというわけではないですが、少し固い印象を受けました。
挿絵はモノクロで、横書きで書かれています。
今回比べた4冊の中では一番安く買えるので、翻訳にはこだわらず安く買いたいという方におすすめ。
岩波少年文庫バージョン / 内藤濯 訳
ぼくは、やっと口がきけるようになると、いいました。
岩波少年文庫 1953年出版 サン=テグジュペリ 作 内藤濯 訳『星の王子さま』P14
「だけど……あんた、そこで、なにしてるの?」
すると、ぼっちゃんは、とてもだいじなことにように、たいそうゆっくり、くりかえしました。
「ね……ヒツジの絵をかいて……」
〝『星の王子さま』といえば内藤さんの翻訳”というイメージがあるくらい、1953年に出版されて以来、日本で多くの人が読んできたであろう岩波書店バージョン。
ただ、古い言葉というのか、いくつかよくわからない言葉が使われているのが気になるところです。
たとえば「とんきょうな声をだす」という表現が使われていたりします。(他出版社のバージョンでは「歓声をあげる」という表現になっています)
対象年齢が小学5・6年以上のため、ところどころの漢字にルビが振られています。
まとめ:『星の王子さま』を文庫本で読むなら新潮 or 講談社
翻訳だけでなくサイズや挿絵のカラー・モノクロなど、いろいろな違いがある文庫本『星の王子さま』。
読みやすさは人によって違うので一概には言えないものの、個人的なおすすめは新潮文庫バージョンです。
もしくは、講談社 青い鳥文庫バージョンなら小学生でも読みやすいので、こちらでもいいと思います!
引用で紹介した文章も参考にして、自分に合った『星の王子さま』を選んでみてください。